水石にはさまざまな分類・種類があり、それぞれの特徴をもとに鑑賞や見立てを楽しむことができます。文献や愛石家によって、その分類や種類の分け方には違いがありますが、このページでは特に分かりやすいと思った三つの分類を中心にご紹介します。
形による分類(これが一番わかりやすい)

石の形状に注目し、山・滝・島などの具体的な自然風景や姿に見立てて分類する方法です。
自然が生み出した造形美を楽しむ、水石ならではの視点といえるでしょう。
この形による分類には、以下の種類の水石があります。
- 遠山石(とおやまいし):山の形。遠くに連なる山々を思わせる形状。
- 島型石(しまがたいし):ゆるやかな起伏のある島のような形状。岩潟とほぼ同じ。
- 岩潟石(いわがたいし):岩場や海岸の風景を表現する形状。島型とほぼ同じ。
- 段石(だんせき):二段以上の階段状の層を持つ形状。
- 土坡(どは):なだらかな丘陵地帯や台地の景観を思わせる形状。
- 溜り石(たまりいし):水が溜まる凹み・窪みを持った形状。
- 滝石(たきいし):白い脈・模様を母石が左右から挟み込むように持つ形状。
- 茅舎石(くずやいし):古びた草庵や茅葺(かやぶき)屋根の家を思わせる形状。
- 雨宿り石(あまやどりいし):上部が左右どちらかにせり出して、下に空間がある形状。
- 舟形石(ふながたいし):船のような形で「跳ね出し」や「反り」を持つ形状。
- 洞門(どうもん):岩門や、洞窟の入口のようなの形状を持つ石。
- 姿石(すがたいし):人物・鳥・獣などを連想させる形状を持つ自然石。
- 紋様石(もんようせき):植物・動物の姿や漢字、風景などを思わせる紋様を持つ石。
水石の見立てや分類の中でも、この形による分類が最もわかりやすいでしょう。
特に「遠山石」や「滝石」は、ひと目で特徴がわかるため、鑑賞時に情景を思い浮かべやすいのが魅力です。
詳細は各石の説明ページをご覧ください。
産地による分類

水石を、川を中心とした産地ごとに分類する方法です。
同じ地域の石でも質感や色合いが異なり、産地ごとの個性が表れます。
日本国内だけでも100近くの著名な産地があり、近年では海外産の水石も展示会で注目されるようになりました。
以下は、私が水石を学び始めてから何度も目にした、特に有名な産地の石名です。
- 加茂川石(かもがわいし):京都府
- 瀬田川石(せたがわいし):滋賀県
- 佐治川石(さじがわいし):鳥取県
- 古谷石(ふるやいし):和歌山県
- 神居古潭石(かむいこたんいし):北海道
また、より詳細な産地や石の特徴でさらに細かく分類する場合もあります。例えば「加茂川八瀬真黒」などがその例です。
さらに、「菊花石」「梅花石」のように、石の模様をもとに名称がつけられることもあります。
(「菊花石」といえば岐阜県の根尾が有名ですが、産地を明示しない、その産地前提で分類・呼ばれることも多いようです)
印象による分類

水石が醸し出す印象や表現の特徴によって分類する方法です。
山水風景を感じさせるもの、動植物を思わせるもの、色や質感を味わうものなど、鑑賞者の経験や感性に寄り添った分類となります。
この分類では、水石を以下のように分けます。
- 山水景石(さんすいけいせき)
- 形象石(けいしょうせき)
- 紋様石(もんようせき)
- 色彩石(しきさいせき)
抽象石・心象石について
古い文献の中には、「形による分類」の一つとして「抽象石」が記載されているものがあります。
しかし、比較的近年の参考書『水石入門マニュアル(近代出版)』にはこの分類が見られないため、「抽象石」という考え方は広く定着しなかったのかもしれません。
また、ネット上では石の販売時に「心象石」という言葉をよく見かけますが、文献などで明確な定義を見つけることはできていません。
すいすい水石では、「抽象石」や「心象石」を、水石の世界へ親しむための入り口となる分類のひとつとして考えています。まずは自由な視点でそれらを楽しんでいただき、次第に水石の奥深い世界へと触れていただけたらと思います。

すいすい水石での抽象石・心象石の捉え方に関して、まとめてみました。
よろしければご覧ください。
その他の分類
水石には「形・産地・印象」のほかに以下のように分けられることがあります。
- 山石(やまいし)・川石(かわいし)・海石(うみいし):石に出会った環境による分け方
- 水盤石・台石:飾り方による分け方
- 自然石・加工石:加工の有無による分け方
- 自採石・購入石:購入方法による分け方
- 伝承石・由来石:その石にまつわる歴史、特定の人物や出来事に関連する由来を持つ石。













