水石の「形による分類」は、石の形状に注目し、山・滝・島などの具体的な自然風景や姿に見立てて分類する方法です。
このページでは「姿石(すがたいし)」に関して紹介いたします。
姿石(すがたいし)とは
「姿石(すがたいし)」とは、まったく加工されていない自然石のうち、観音様などの聖者をはじめ、人物・鳥・獣などを連想させる形状を持つものを指します。
他の分類で言うと「形象石」の一種にあたります。

水石の中には、景をより際立たせるために部分的な加工が施される場合もありますが、「姿石」に関しては加工をしないことが重要とされています。
形を整えるために手を加えてしまうと、それはもはや水石ではなく石像や彫刻と同じになってしまうからでしょう。
姿石は、見つけたときの「そのままの姿」を大切にすることが、水石としての本質だと思っています。
形似よりも神似
姿石には古くから「形似よりも神似」という言葉が伝えられています。姿石に限らず水石全般に言えることかもしれませんが、まずは以下引用させていただきます。
その鑑賞の價値は、形の似たといふ點にあるは申すまではないが、その似たと云ふは、形似でなく、神似を貴ぶのである。ちらと一見の印象でよく似て居ると感ずるが、再び見なほさうとして手に執り眺むれば、忽ち之を見失ふといふやうな所に、妙處が存するのである。
能勢萬『樹石 : 盆栽随筆』大雅堂、1943年、45-46頁
*神似の「神」は「しめすへんに申」の旧漢字です。環境依存で表示できませんでした。
「形似(けいじ)」は「形そのものがそっくりであること」、「神似(しんじ)」は「内面が似る、精神面が似る=雰囲気や印象がそれらしく感じられること」です。
これは、姿石(水石)の鑑賞において
「形そのものがそっくりであることよりも、一瞬見たときにそれらしく感じるが、よく見るとそうでもないという曖昧さに価値がある」、
「はっきりと形が似ているものよりも、どことなく似ている・象徴的に表現されているものの方が趣がある」
と示唆してくれています。
たとえば、細部まで人の姿にそっくりな石よりも、シルエットや雰囲気がそれとなく人を思わせる石の方が、鑑賞者の想像をかき立て、より深い味わいを生み出すということですね。
この「形似よりも神似」の気持ちで姿石を探せば、いろいろな石に出会うことができそうです。
出会った姿石
鴨(鳥)のような多摩川石
手持ちの石で姿石と言えるものは全然ないのですが、以前鳥っぽい石を見つけていたのを思い出し、比較してみました。
多摩川の石です。
「形似よりも神似」の教えがあってよかったです。ぱっと見は似ていると思います。


蒼黒の雨蛙石
この石に関して記載した記事に、コメントで教えていただき見つかった「雨蛙」です。

雨宿り石のつもりだったのですが、「雨蛙」が住んでいました。
上品な比丘尼様
紫がかった上品さのある石です。
尼様の横姿です。


水石の形一覧
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