水石の肌合(はだあい)の種類

ジャグレ

肌合(はだあい)」とは、水石の五大要素の一つで、水石の表面の質感や風合いを指します。

長い年月をかけて自然が作り出したものと、人の手による養石(ようせき:石を育て、味わいを引き出すこと)によって生まれたものがあり、それぞれに独自の趣があります。

私はこの「肌合」に特に魅力を感じていて、川ずれなど自然が生み出した独特の石肌にそっと触れると、偶然が生み出す芸術の妙を実感し、何とも言えない気持ちになります。

肌合にはさまざまな種類があり、削れや穴の開いたものなど、それぞれに名前がついています。

大きなサイズの名石では、複数の肌合がまじりあい、深い味わいを出しているものがたくさんあります。中にはひと目で分かるものもありますが、パッと見ただけでは判断が難しい肌合もあります。

しかし、たくさんの石を見て触れていくうちに、自然と違いが分かるようになってくると私はかんがえています。

肌合を知ることで、自分の好みに合った水石を見つけるきっかけにもなるはずです。ぜひ、さまざまな肌合を楽しみながら、お気に入りの石を探してみてください!

*画像が間に合ってなくてすみません!入手出来次第随時更新します!

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「皮目(かわめ)」と「肌目(はだめ)」に関して

水石の肌合いに関連する事柄の「皮目(かわめ)」と「肌目(はだめ)」について紹介します。

水石でも「皮目(かわめ)」と「肌目(はだめ)」があり、主に川石の表面に見られる特徴です。

  • 肌目(はだめ):川の流れによって、石の柔らかい部分が削られたり、えぐられたりして生じた表面のこと。風化や浸食によって形成されることが多く、質感が変化しやすい。
  • 皮目(かわめ):肌目とは逆に、石の硬い部分が削られずに残った表面のこと。比較的なめらかで、強度がある部分を指す。

食材でも、魚の切り身などで硬い皮がついている側を「皮目」と呼ぶように、削られずに残った部分=皮目、削られて露出した部分=肌目、というイメージで考えると分かりやすいかもしれません。

私は、この「皮目」と「肌目」がよく表れている肌合の一つとして「ジャグレ」があると感じています。

大きくうねるようにえぐれている部分は軟質部が削れた「肌目」、なめらかで硬質な部分は「皮目」と捉え、ジャグレのうねりや荒々しさを楽しんでいます。

ジャグレ

水石の表面に見られる流れるような凹凸、不規則に小さな「えぐれ」や「穴」が入り組んだ模様を指します
この肌合は、特に硬質な石で発生し、長い年月をかけて風化や摩耗、あるいは石内部の結晶構造によって自然に現れることが多いです。
「まるで蛇が這ったかのようにみえるため蛇崩(じゃくずれ→じゃぐれ)」という説と「えぐれ・しゃくれている状態なので杓れる(しゃくれる→じゃぐれ)」という説と、由来も複数あります。

ジャグレに関して詳細はこちらをご覧ください。

巣立ち(すだち)

巣立ちの肌合

「す(鬆)」とは、本来は詰まっているはずの部分にできた空間(穴)を指します
「すが立つ」「すができる」などの表現があるように、水石の肌合のひとつ「巣立ち」も、石の内部や表面に小さな穴やくぼみが生じている状態を表します。(いろいろ調べてみると、火山岩系のボツボツ・ポツポツと穴が開いているの状態らしいということがわかりました。)
名前の由来については諸説あり、「大根の酢が立つ状態に似ている」「穴の様子が蜂の巣のようで、そこから蜂が巣立つことに由来する」などが考えられていますが、正確な語源はわかっていません。

ウガチ

ウガチ」は水石の肌合のひとつで、その名前は「穿つ(うがつ):穴をあける、掘る、突き抜く」といった意味に由来すると考えられます。「表面に何かを打ち込んだような、深く鋭い穴」が特徴です。
「溜り」のように緩やかな窪みではなく、より急峻で深い穴が生じており、「ジャグレ」と比べても、より明確な陥没のようです。ジャグレとウガチの違いを判断するには、様々な石を見比べる必要があると思ってます。

梨地肌(なしじはだ)

梨肌

果物の梨の皮のように、小さな斑点、細かな凹凸おうとつが均一に広がる肌合を指します。「梨地」と省略して言う場合もあります。
特に硬質な石に見られ、光の当たり方によって繊細な陰影が生まれ、落ち着いた趣が感じられます。
代表的な例として、硬質なホルンフェルス系の黒石があり、ここでは輝石や角閃石などの結晶が抜けた後に、小さな孔がポツポツポツと開き、梨肌の特徴的な状態を作り出します。

梨地肌の詳細に関してはこちらをご覧ください。

米点模様(べいてんもよう)

米点模様

「米点(べいてん)」とは、もともと中国の水墨画技法の一種で、墨の点を重ねて山や木々を描く表現法です。
一方、水石における「米点」は、「米粒の形・大きさ」に由来しています。
米点模様(べいてんもよう)」と呼ばれる肌合は、「米粒大の小穴が無数にあいている状態」、または「米粒のような小さな突起が無数にできている状態」を指します。
穴と突起という、一見すると反対の特徴が同じ分類に含まれるのは少し意外・また混乱しました。
ただ、「米粒のような模様」という共通点で捉えれば、わかりやすい肌合であるとも感じてます。

龍眼(りゅうがん)

龍眼(りゅうがん)」とは、石の表面に白い石英や石灰質が貫入(岩石が形成される過程で別の鉱物が入り込む現象)したものを指します。
その特徴は、表面に白い斑点状の模様が見られることで、龍眼が広範囲に及ぶ場合は「残雪」と表現されることもあります。
また、近年では「滝石(たきいし)」の特徴である「白い筋状の滝模様・線や脈」も「龍眼」として含めるようです。

糸掛(いとかけ)

糸掛(いとかけ)」は、別名「糸巻(いとまき)」とも呼ばれる肌合の一種です。
比較的柔らかい石質とされる砂岩などの表面に、硬い石英の線や脈が糸を巻いたような模様を描いている状態を指します。
やわらかい岩石部分が先に風化することで、より硬い石英の部分が浮き上がり、網状や筋状の模様が際立つのが特徴です。このため、見た目がとても印象的で、とても分かりやすい肌合だと思っています。

糸掛に関して、詳細はこちらからご覧ください。

皴(しゅん)

もともと中国画の技法に「皴法(しゅんぽう)」と呼ばれるものがあり、山や峰の表面に皺(しわ)を描くことで立体感を表現します。この「皴法」を由来として、水石では石の表面に現れた皺状の模様(山ひだや節目のような模様)を「皴(しゅん)」と呼んでいます。なお、「皴(しゅん)」は古谷石系統の水石に見られる肌合ですので、機会があればぜひ確認してみてください。
なお、似たような肌合に「皺(しわ)」というものがあるようですが、違いが明確になれば追記します。

サバ花(さばはな)

サバ花(さばはな)の肌合

サバ花(さばはな)」とは、菊花石特有の肌合で、別名「サバ菊」とも呼ばれます。これは、菊花石の花弁模様が、水蝕により軟質部分が欠けた状態を指します。
母岩が軟質で水蝕され、硬質な花弁部分のみが立ち上がるように残った状態を「立ちサバ(魏牙)」といいます。反対に、花弁部分が軟質で先に水蝕され、母岩に花弁の跡だけが残った状態を「抜けサバ」といいます。
また、蜂の巣のように穴が連なる「蜂の巣サバ」や全体が水蝕され崩れた「崩れサバ」といった状態もあります。

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