水石の「形による分類」は、石の形状に注目し、山・滝・島などの具体的な自然風景や姿に見立てて分類する方法です。
このページでは水石の基本の形状である「遠山石」に関して紹介いたします。
遠山石(とおやまいし)とは
「遠山に始まり、遠山に終わる」
——この言葉は「水石を始める際に最も親しみやすいのが遠山石であり、さまざまな石を楽しんだ後、最終的にまた遠山石へと戻ることが多い」という意味を持ちます。
遠くに連なる山々を思わせる「遠山石」の形状は、水石の基本とされるものです。

日本の国土の約75%が山地であることを考えると、私たちにとって「山の形」は最も馴染み深い自然の風景なのかもしれません。
富士山をはじめ、遠い山々の情景が頭に浮かぶ人は多いと思います。
良い遠山石を見立てるためには、実際の山々の姿をよく見てみることが大切です。
本物の山へ足を運ぶのが理想ですが、忙しい日々では中々に難しいと思います。
そんなときは、ネット上の写真や日本百名山の画像を活用するのはいかがでしょうか。
多くの山の姿に触れることで、より良い遠山石を見極める目を養うことができます。

遠山石の分類
遠山石では峰の数によって呼び方を変える場合があります。
- 連峰形:高さの異なる主峰と副峰があり、その間に連なる峰を持つ形。起伏に富んだ造形が理想とされる。
- 双峰形:二つの峰を持つ形。主峰と副峰の高さに差がある方が好まれる。
- 孤峰形:主峰が一つだけの形。左右対称に近いと単調に見えやすいが、主峰が適度にずれた配置だと風格が増す。
特に「連峰形」や、高さに差がある「双峰形」は人気が高く、動きのある景観を表現しやすいとされています。
展覧会に出るような遠山石では、いくつもの峰が連なり、ジャグレや糸巻きなど様々な肌合をもつ名品もあります。
一方で「孤峰形」は、シンメトリーになりがちなためか、やや評価が分かれる傾向があります。
その代わり、探石では比較的見つけやすい遠山石だと思います。
実際の探石でも「孤峰形の遠山石」もしくはそれに近しい石はよく見かけます。
ただし、子供が描くような「ポッコリとした山」の形状が多く、左右どちらかに勝手(張り出し)があり、反対側が流れているような優美な石にはなかなか巡り合えないのが実状です。
遠山石を飾ってみる
後述しますが、形のいい遠山石にはなかなか巡り合えません。
手持ちの水石の中で遠山石に近しいものを、見よう見まねで飾ってみました。
多摩川の孤峰形の遠山石です。ほっこりとした小山です。

反対側から見ると、のっぺりしているのであまり見立てはよくなさそうです。

水を打ってみました。濡れ色現象で形と色がはっきりしました。とてもきれいです。

奥行きや横の流れなど、果たして遠山石と言っていいものか迷いましたが、実際に飾ってみると思った以上にいい遠山石でした。

遠山石はシンプルゆえに奥深い
遠山石は、そのシンプルさゆえに奥深く、長く愛される水石の形のひとつです。
しかし、実際の探石では、良い遠山石に巡り合う機会はなかなかありません。
実際に探石してみますと、底が安定していない・奥行きがないなど「三面の法の調和」に欠ける石がほとんどだからです。
*前後・左右・底の3点(三面)のバランスと調和に欠けている。
探石に行った際は、ぜひ遠くの山々を思い浮かべながら探してみてください。もしかしたら素敵な遠山石に巡り合えるかもしれません。
水石の形一覧
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