多摩川は東京都心を流れる川です。
そんな都市河川の中にも、古くから水石愛好家に親しまれてきた「多摩川石」が存在します。
ここのページでは、多摩川石の特徴とその魅力ご紹介します。
多摩川石(たまがわいし)とは
多摩川は、山梨県に源を発し、東京都を東流して東京湾に注ぐ一級河川です。
全長は138km、流域面積は1,240k㎡になり、秋川や浅川、大栗川などいくつもの支流・分流があります。
水石の世界においても、多摩川は魅力的な水石・銘石を産出する地として知られています。
この多摩川の流域で採取される水石の総称が「多摩川石」です。
多摩川石の特徴と魅力
多摩川は、さまざまな岩石が流れ着く場所として知られ、多彩な表情をもつ水石と出会える産地です。ここでは、多摩川石ならではの魅力をご紹介します。
多摩川の真黒石
多摩川石の代表的な石の一つに、ホルンフェルス由来の「梨地肌の真黒石」があります。
瀬田川石とは一味違う石肌で、細やかな凹凸が梨地のように浮かび上がる硬質な石です。
梨地肌でなくとも、斑の入った黒い石も多く、なかには四万十川の石を思わせるような、ぽってりとした趣のある水石も見つかります。

また、黒と斑が交じり合い、まるで虎の縞模様のような筋が浮かぶ石に出会えることもあります。
多摩川の「虎石」ですね。

チャート ― 赤玉のような色彩石
多摩川では、「丸みを帯びた赤いチャート」も見つかります。
はっきりとした景は出にくいものの、その鮮やかな赤みは独特の存在感があり、とても美しいです。

蒼黒の多摩川石 イチ推しの石
「すいすい水石」が特におすすめするのが、「蒼黒で硬く重みのある多摩川石」です。
すいすい水石の「推し石」です。
景が出にくい硬質な石ですが、程よく錆が入り川ズレもよく、とても魅力的な肌合いの石です。
濡らすと凹凸や模様がくっきりと浮かび上がり、輝緑色を思わせる光沢のある深い青黒さが映える魅力があります。
下の写真の石は、どちらかというと緑が強い方ですが、もっと深く黒い石もあります。


もともとが支流の「大栗川」から産出された石らしいですが、今は住宅街になりあまりとれないとのこと。
多摩川では是政橋付近を探石すると見つけることができます。
ジャグレた水石も見つかる
数は多くないものの、表面がジャグレた味わい深い石も見つかることがあります。


名品展での多摩川石
「第62回 日本水石名品展」にて拝見してきた多摩川石の写真になります。
どちらも素晴らしい石で、多摩川の側に住んでいてよかった~と思わせてくれた石です。




多摩川でよく見られる岩石の種類
良質な「多摩川石」のもととなる多摩川の川原の石は、どういった種類があるのか調べてみました。
なお、一番のお気に入りの「蒼黒の多摩川石」は何の種類の岩石かいまだわかっていません。
(「緑色岩」かな?と思ってます)
わかり次第、情報を追加予定です。
堆積岩
- 礫岩(れきがん): 丸みを帯びた礫(れき/直径2mm以上の岩片)が、圧力などにより固まってできた岩石。多摩川では丸みのあるものが多いです。
- 砂岩(さがん): 砂粒(0.063〜2mm程度)が圧縮されてできた岩石。色は灰色〜黄褐色が多く、層状構造で美しい模様が出ているものもあります。
- 泥岩(でいがん): 泥(粒径0.063mm未満の粘土やシルト)が堆積して固まった岩石。柔らかい岩石です。黒〜暗灰色が多いです。
- チャート: 放散虫など海洋プランクトンの殻(シリカ質)が海底に堆積してできた硬質な岩石。割れやすく、貝殻のような断口(貝殻状断口)を持ちます。色は赤、灰、緑、白がよく見られ、多摩川の川原の代表的な石の一つです。
- 石灰岩(せっかいがん): サンゴや貝などの炭酸カルシウムを含む生物の殻が堆積してできた岩石。白〜灰色で、塩酸をかけると二酸化炭素が発生して泡立ちます。青梅近辺でよく見られます。
火成岩
- 石英閃緑岩(せきえいせんりょくがん):花崗岩と似ていますが、より暗色鉱物が多く、白〜灰色の地に黒点が見えるような外観。多摩川の上流で見られることがあります。
- 玄武岩(げんぶがん): 黒っぽく緻密な火山岩で、早く冷えたマグマからできます。時に小さな白い斑晶や「杏仁状構造」の石が見つかることもあります。
- 安山岩(あんざんがん): 灰色〜黒灰色の火山岩。斑晶(大きな結晶)を含み、表面に白っぽい斑点が見えることがあります。
- 花崗岩(かこうがん): 白や黒系の鉱物が粗く混ざった、いわゆる「ごま塩模様」の岩石。
変成岩
- ホルンフェルス: 堆積岩がマグマの熱により変成された接触変成岩。非常に硬く緻密です。割ると貝殻状断口が見えることがあります。梨地肌の石が目印です。
- 粘板岩(ねんばんがん): 泥岩が低温・低圧の変成を受けてできた岩石。黒っぽく、薄くはがれやすい性質があります。
- 大理石(だいりせき): 石灰岩が変成を受けてできた岩石で、結晶質の模様があり、白~灰~ピンク系の色調。塩酸で発泡する性質もあります。
その他/補足的な岩石
- 緑色岩: 玄武岩などが熱水変質により緑色になった岩石。かすかに光沢を帯びた緑灰色の石が特徴的です。
- 石英脈: 地中の隙間にシリカ成分が入り込み、冷えてできた白〜乳白色の石英の塊。多摩川では丸みを帯びた白い小石として見られます。
多摩川石の探石おすすめ場所
青梅の釜の淵公園
JR青梅線の青梅駅から徒歩で約15分の場所にある公園で、川原が隣接しています。
トイレもあり探石におすすめの場所になります。(ゴミ箱はないので、ゴミは持ち帰りましょう。)
石灰石が多くホルンフェルスなどの石は少なかった気がします。
府中市是政橋付近
西武鉄道多摩川線の是政駅から徒歩ですぐの是政橋付近もお勧めです。
散策路が整備されており、手軽に河原にアクセスできます。
梨地肌のホルンフェルスや私が大好きな蒼黒の多摩川石など、硬質の石が見つかります。
注意事項
- 河原に立ち入る際は安全第一で行動しましょう。
- 採石禁止の場所もあります。事前の調査を忘れないようにしましょう。
- 石の採取は地域のルールや環境保護に配慮し、必要最低限に。
- 雨天時や増水時には川に近づかないよう注意が必要です。
多摩川石の参考サイト
多摩川石の魅力に関しては、緋山酔恭先生の「山水石美術館」でより詳しく知ることができますので、是非ご覧ください。(別サイトが開きます)
緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 多摩川石 Ⅰ
緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 多摩川石 Ⅱ
