多摩川石:幅約13.5cm×高さ約5cm×奥行約8cm
*伊勢砂で飾り付け
*銘はまだありません
この蒼黒の多摩川石は、川ズレの良さからパッと目に入り、思わず手に取った石です。
川ズレはいいが景の連想は難しそうだ、と思いながら目線の高さに持ち上げたところ、思わぬ形で「山」が見えたのです。
ちなみに、水石鑑賞の基本「前後・左右・底面」の三面を意識する「三面の法」を全く顧みない見方になります。
しかし「これはこれで面白い」「子供のころにクレヨンで描いた山だ」と思い持ち帰りました。
まずはポンと砂の上に置いてみました。「山」は見えますでしょうか?

底を少しだけ隠し、整えました。「ほっこり遠山」です。


私の大好きな蒼黒の多摩川石は、「硬い」のですが同時に「欠けやすい石」のようで、よく端の方が欠けていることが多いです。
欠けて川ズレが浅いと色の差が目立ち、「ここがなければなぁ」と感じることがたびたびありました。
水を打つと目立たないのですが、「欠けがある」と心に引っかかる感じで飾っていたのです。
しかしこの石は、川ズレがない分、欠けた切り口部分の山形がくっきりとでています。
石が「欠けや切り口にも良さがある」と教えてくれているみたいです。
ひとしきり平面の遠山を楽しんだ後、ひっくり返して飾ってみました。
山の形を描いたやわらかな曲線は、うっすら纏う錆と相まって、抽象石・オブジェとしても楽しませてくれるのでした。



あまり見ない飾り方かと思いましたが、切り口が想像以上に「山」になり、楽しかったです。


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