水石の形を見立てる際に、昔からお手本として伝わっている言葉があります。
それが「三面の法(三面の法則)」です。
三面の法とは
「三面の法(三面の法則)」とは、吉村鋭治氏が提唱した水石の形の見方を説明・解説する法則で、石の形を評価する際の手本として多くの方が参考にしています。以下、引用を記載します。
石が三面の法にかなっているかどうかという点です。三面は石の前後、左右、底のことですが、この三面の調和が石の形をみる場合の原則になると思います。つまり、前と後、右と左がそれぞれ釣合がとれ、その上に前後、左右、底の三面が大きさ、形、厚さにおいて調和している石が好ましいということです。
~中略~
一例をあげますと、遠山石の前面に山裾がありながら、後面が切立っていては前後の釣合がとれません。やはり前面に対応する山裾が後面にもなければなりません。また、山の右端に強い張りがあれば、左端にもこれを受ける弱い張りが必要です。そして前後の山裾の広がりと左右の端が石の底の厚さと釣合っていれば、三面の法則にかなっていることになると思います。
村田憲司 編『水石』木耳社、1965年、12頁

三面を見立てる際のポイント
各面の見立てに関して、詳細を調べてみました。
1. 前後 – 奥行きがある
水石は正面からの見た目だけもだけではなく、前後の幅があること、奥行きがあることが重視されています。
例で挙げられている遠山石で言えば、薄い三角石ではなく、奥行きがあり山並みが前後に重なり合う石が評価されています。
確かに、背面が凹んでいたり「のっぺり」とした形状の石は、奥行きが感じられず、安定感・迫力に欠けると感じています。展示会の遠山石は、奥行きがあり、見事な山・山並みを表している石がたくさんありました。
段石や土坡では、坡面の奥行き・広さになるかと思います。
2. 左右 – 変化とバランス
左右に関しては、適度な変化がありながらも、全体としてバランスが取れていることが求められます。
水石ではもともとシンメトリー(左右対称)は好まれないため、横幅がある石の場合は「勝手(せり出し)」や、遠山石でいう「主峰」のような特徴が必要だと考えています。
ただし、片側に偏りすぎると不安定な印象を与えたり、奇抜さが際立ちすぎることもあるため、やはり適度なバランスが重要と理解しています。
遠山石の場合、連峰や双峰が評価されるのは、「主峰」だけではなく、反対側に主峰を受ける「福峰」があること=左右のバランスが取れているからだと思います。
3. 底面 – 安定感がある
水石では底面が安定していることが重要で、どっしりと構えている石が評価されます。
「底切り」によって安定感を出す場合もありますが、やはり自然のままの状態の方がより高く評価される傾向にあるようです。
また、安定していても分厚すぎると台座や水盤におさまりが良くないため、適度な厚さがいいとされています。
さらに、底面が程よく安定していることで、台座の制作や飾る際の調整がしやすくなり、鑑賞する際の印象だけでなく、実用的な面でも優れた要素であると感じています。
三面のバランスと調和が大切
「三面の法」を意識することで、水石の持つ自然の景色をより魅力的に見せることができます。
- 前後:前後ともに幅があり、奥行きが感じられる。
- 左右:シンメトリーではなく、左右にバランスの取れた高さが必要。
- 底:底は厚すぎず安定した据わりが求められる。
という「前後・左右・底面の3点(三面)のバランスと調和」が、良い形を判断するための基本的な考え方であると教えてくれています。
