水盤で水石を飾る「水盤飾り」

水盤で水石を飾る

水石を水盤に飾ることを「水盤飾り」といい、こうして飾られた石を「水盤石」と呼びます。(*水盤石に対して、台座で飾ったものは「台石」といいます。)

近年は、手軽に飾れる台石の方が人気のようですが、個人的には水盤石の方が魅力的に感じます。

その理由は、水を打つことで石の色合いが鮮やかに際立ち、美しさが一層引き立つからです。(同時に、台座を用意するのが、現状なかなか難しいという事情もあります)

少し手間はかかりますが、その分、奥深い楽しみがあるのも水盤飾りの醍醐味です。
ぜひ一度挑戦してみてください!

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水盤飾りに必要な道具

水盤飾りを楽しむために、以下の道具を揃えておくと便利です。

  • 水盤:石の大きさや個性に合うもの。水石を引き立て、山水風景を感じさせるものが理想
  • :水盤に敷く砂。大きな水石には粗めの砂、小さな水石には細かい砂を使うのが一般的。
  • 土すくい:砂を水盤に入れる際に便利。
  • 刷毛・コテ:砂の表面を均すための道具。毛が抜けない幅広のものがいい。
  • できれば塩素を抜いたもの。特に銅板の水盤を使う場合は水道水そのままは避ける。
  • 霧吹き:水を打つ際に使用(室内では霧吹き、屋外では如雨露じょうろが便利)。
  • 敷物:「鞍馬砂」などの貴重な砂がこぼれた際に回収しやすいように敷いておく。
水盤に水石を飾る

水盤飾りのやり方

水盤飾りの手順については、WABI CHANNELの動画「水盤飾りで楽しむ水石~石選びから水盤への据え付け、そして添景遊び~」が非常に参考になります。(他力本願ですみません!!)

初心者の方にも分かりやすく、落ち着いたトーンでの解説がとても魅力的です。

使用されている道具も名品ばかりなので、水石趣味での高みを知る・感じることもできます。

また「涼を呼ぶ夏の水石水盤飾り~水石にあった水盤で夏景色を描き出す~」の動画も、とても勉強になります。

WABI CHANNELは盆栽の動画の方が多いかと思いますが、水石に関してもたくさんの動画を挙げてくださっています。
どの動画もわかりやすく、また水石の楽しさとすばらしさを伝えてくださる動画なので、チャンネル登録することをお勧めいたします。

*動画を参考に自分で飾った際の記事ができたら、またご紹介しますね。

水盤飾りにおける水石の位置

水石の配置に関する文献や展示の実例を見ると、「シンメトリー(左右対称)は避けられ、非対称性(不均衡の調和、アシンメトリー)が好まれる」傾向があるようです。

これは、日本の美意識における「非対称の美(不均衡の調和)」や「自然美」を重視する考え方と共通しているからかもしれません。

例えば、枯山水(山水風景を表現した日本庭園の様式)や茶道の床の間のしつらえにおいても、均整よりも動きのある配置が美しいとされているようです。

WABI CHANNELの動画でも語られていたかと思いますが、水盤飾りにおいてもこの考え方が反映されており、以下のようなポイントを意識すると、より自然で趣のある飾りができると思います。

1,中央を避けて石を置く

水盤の真ん中に置くと、動きや奥行きが生まれにくく、単調な印象になりやすいです。

美しく見せるためには、「三分の一の法則」や「黄金比・白銀比」を意識した配置をすると、より自然な景を引き出せます。

  • 三分の一の法則:画面や空間を縦横それぞれ三分割して、交点や三分の一の位置に主題を置く法則
  • 黄金比:自然界・美術・建築において最も美しいと言われる比率。「1 : 約1.618
  • 白銀比:日本文化で特に好まれる比率。「1 : √2(約1.414)

その石の個性を引き出すように、中央を避けるなど、いろいろな場所において試してみましょう。

石を左に置いてみたり
右においてみたりいろいろ試す

なお、水盤の大きさは「水石の大きさに対して1.5倍ほど」がバランスがいいと過去の文献で記載がありました。

イメージしたい景色の広さや、石の形状にもよると思いますが、一つの目安として覚えておくといいでしょう。

2,奥行きを意識する

水石を少し奥に配置することで、遠近感を演出できます。

手前に少し余裕・余白を持たせた配置ですね。

空間ができることにより、想起する景色が広く感じるようになります。

水石を奥に配置してかざる
上から見ると手前に余白がある

逆に水盤の手前に置くと、安定感に欠け「つまった感じ」になるためか、一般的には奥寄りの配置が好まれるようです。

名品展の展示などでも、手前に置かれた水石はほとんど見かけませんでした。

3,「勝手」を意識して左右どちらかに寄せる

ほとんどの水石には「勝手(かって)」があります。

勝手(かって)」とは、その石の一番強い・力がある部分や、目立つ張り出しのことを指します。

勝手、一番せり出しているところ
青い丸のところが「勝手」
一番せり出しているところが勝手
一番せり出しているところが勝手

遠山石の場合、「主峰(しゅほう・一番高いところ)」が「勝手」となり、反対側を「流れ」と表現します。

「右勝手」の石は右寄せに、
「左勝手」の石は左寄せに配置すると、
「流れ」の前に「間合い(余白)」が生まれ、より広い景を感じさせてくれるようになります。

勝手の方向に寄せて、手前に余白を取る

水石の向きを調整する

より自然に見える向きを試しながら配置を決めてみてください。

たとえば遠山石であれば、手前を低く、奥を高くすることで、自然な遠近感を演出できます。

水石を飾る際は、これらのポイントを意識しながら配置することで、より魅力的な景色を作り出せるでしょう。

同時に、「自然さ」も大切ですが、自分が見て「一番いい!」と思った向きでも大丈夫です。

私も「この向きは不自然」と思いながらも、自分が一番気に入った向き・角度で飾っていることがしばしばあります。

是非、いろいろな向きや位置で飾りつけに挑戦し、素敵な風景を感じてみてください。

多摩川石
いろいろ試して、最後にドンと真ん中に立ててみた時

砂を使わず、水のみはって石を飾ることもある

その他、「水盤に砂を入れず、直接水をはって石を飾る」方法もあるようです。

youtubeの動画で展示会の様子を拝見しましたが、「水面に浮かぶ石もいいものだ」と思った次第です。

砂を使わない分、本当に手軽に石を飾ることができる方法です。
また、水盤に張った水を石に注げば、乾いた石もすぐに鮮やかな色を取り戻せると思いました。

今度挑戦してみようと思います。

いろいろ飾ってみて感じたこと

このサイトを始めてから、いろいろ勉強しながら、水盤やら器やら様々なものに水石を飾ってみました。

飾ってみて気づいたことを、ここで少しだけまとめてみます。

飾っていると、不思議と心が落ち着く

飾りつけの時間は、あれこれ考えながらも、どこか落ち着いた気持ちになれます。

石の向きや砂の高さに集中していると、他のことを忘れて無心になるような感覚があるのです。

特に砂を平らに整えているときは、どんな景色が見えるのかと楽しみにしながらも、ゆったりとした時間が流れていきます。

以前どこかで「水盤は結界のようなもの」と書かれていたのを読みましたが、その言葉がずっと心に残っています。

そのせいでしょうか?飾っている間は、自分だけの静かな空間に入っていくような、そんな心地よさがあります。

砂はこぼれる

WABI CHANNELの支配人もおっしゃっていましたが、砂はこぼれます。ほんとうによくこぼれます…。

フチまで砂を盛ろうとしたとき、あるいは刷毛で砂をならしているとき、ちょっとした力加減で砂がピンと跳ねて外に飛び出してしまいます。

私は今のところ安価な刷毛を使っているのですが、毛が少しかためで、それが原因かもしれません。
いまはちょうどよい柔らかさの刷毛や筆を探しているところです。

飾れば飾るほど、楽しくなって、難しくなっていく

最初の頃は、飾り方にあまり迷いがなく、思い切りよく置いていた気がします。

けれど、やればやるほど「あれ?もっといい向きがあるかも?」「この余白、気になるな…」といった視点が増えてきて、楽しい反面、飾るのがどんどん難しくなってきました。

でも、それがまたおもしろいところでもあります。

「今回はなかなかいい飾りができたかも」と思える瞬間があると、すごくうれしくなります。

写真に撮ると、意外な気づきがある

私は基本的に、サイト更新用に飾った石を写真に残していますが、あとでその写真を見返してみると、思いがけない気づきがあることがわかりました。

「もう少し寄せたほうがよかったかも」と感じることもあれば、「思ったよりこの飾り、よかったな」と見直すこともあります。

写真にすることで、客観的に見られるのがすごく勉強になります。

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